四半期開示の見直しによるIPO準備への影響
四半期報告書(第1・第3四半期)が廃止され、四半期決算短信に「一本化」されることになり、2024年4月1日から施行されることになりました。このことは、IPO準備企業にとっては、上場するまで関係のないように思えますが、上場前に開示体制の構築の一環として作成する「四半期決算短信」への影響や「上場申請のための四半期報告書」が「上場申請のための半期報告書」に変更されることなどについて確認しておく必要があります。
1.背景
「金融商品取引法等の一部を改正する法律」が2023年11月20日に成立し、上場企業において、四半期報告書(第1・第3四半期)が廃止され、取引所規則に基づく四半期決算短信に「一本化」されることになりました。
2.主な概要
東証の基本的な考え方として、四半期報告書で開示されていた事項のうち、投資者の要望が特に強い事項を四半期決算短信に追加し、開示を義務付け。
・開示が義務付けられる事項以外についても、原則として、上場会社が投資者ニーズを適切に把握し、投資者ニーズのある事項に関して積極的に開示することが重要。
・業種や事業内容等によって投資者ニーズは異なることから、開示する情報についてはニーズに応じて各社が判断。
(参考:四半期開示の見直し | 日本取引所グループ (jpx.co.jp))
四半期開示の見直しに関する東証の開示制度について.pdf (jpx.co.jp))
3.開示が義務付けられる事項
【サマリー情報】
・監査法人のレビューの有無(「有(義務)/有(任意)/無」のいずれかを記載)
【添付資料】
<財務諸表>
・連結貸借対照表、連結損益計算書及び連結包括利益計算書(日本基準、IFRS、米国基準で取扱いに差は設けず一律義務付け)
<注記事項>
・会計方針の変更に関する注記
・会計上の見積りの変更に関する注記
・四半期連結財務諸表の作成に特有の会計処理に関する注記
・セグメント情報等の注記(新制度における半期報告書と同水準)
・株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記
・継続企業の前提に関する注記
・四半期連結キャッシュ・フロー計算書に関する注記(連結CF計算書を省略する場合は記載)
<その他>
・レビュー報告書(レビューを受ける場合のみ添付)
3.適用時期
2024年4月1日から施行