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②すぐに使える! IPO規程7選 監査役監査規程と作成ポイント

1.「監査役監査規程」の作成および運用上のポイント

 

・会計監査人との連携、内部監査室との連携の記載は必須。

・規程の改訂は監査役会で行う。

・上場準備の時点で大会社でない会社は監査役協議会で規程の改訂を決定する。

 

 

2.「監査役監査規程」のサンプル

 

下記規程サンプルの部門名、責任者は一般的な名称にしてます。

当規程サンプル以外の規程が必要な方は、こちら「IPOのための社内規程集」をご参照ください。

 

 


 

 

監査役監査規程

 

第1章 総則

 

第1条(目的)

 本規程は、当社の監査役の職務を執行するための行動基準を定める。

 

第2条(監査役の基本姿勢)

 監査役は、会社の機関として取締役と共に同一の経営理念および基本方針に基づき、 相互信頼の精神に従って会社の健全なる発展に貢献しなければならない。

2.監査役は取締役とはその職務および立場を異にすることを認識し、取締役の職務執行が適法性を欠くおそれがある場合には、必要な勧告を行い、違法な事態を未然に防止することによって、株主の負託に応えるとともに、会社の社会的信用の維持向上に努めなければならない。

 

第2章 一般基準

 

第3条(監査役の心構え)

 監査役は、常に経営全般の立場から過去および現在のみならず、将来にわたる経営業績の推移と経営環境の変化の大綱を把握するとともに、平素より取締役との意思疎通に留意し、各担当者または関係部門からも、情報の収集を行い業務の実態の把握に努めなければならない。

2.監査役は、事実の認識、処理の判断および意思の表明を行うに当たっては、常に公正不偏の態度を保持しなければならない。

3.監査役は、その職務を行うに当たり、会社の秘密保持に充分注意しなければならない。

4.監査役は、平素より監査を行うに必要な知識の習得および理論の探究ならびに監査技術の向上に努めなければならない。

 

第4条(意見の陳述)

 監査役は、その職務執行に際し、会社の業務の適正な運営および合理化等について意見を持つに至った場合には、会社の健全な発展に資するため、取締役に意見を述べなければならない。

 

第5条(助言)

 監査役は、会社に将来著しい損害または重大な事故などを招く恐れがある事実を発見した時は、その事実を指摘して、これを改めるよう取締役に助言しなければならない。

 

第6条(勧告)

 監査役は、会社の業務の適法性を欠く事実または適法性を欠くおそれがある事実を発 見した時は、その事実を指摘して、これを改めるよう取締役に勧告しなければならない。

 

(監査の事実に基づいた意見表明)

第7条  監査役は、意見の陳述、助言または勧告を行う場合には、その事実および環境条件を十分に調査し、会社の

    役員としての自覚と責任に基づいて行わなければならない。

 

第8条(監査計画)

 監査役は、監査法人および内部監査室との連携を密にしたうえで、重要性および適時性その他必要な要素を考慮し、適切に調査対象を選定して、監査計画を作成すると共に、監査実施についても効率的に行うよう留意しなければならない。

 

第9条(常勤監査役および監査役間の意見交換)

 常勤の監査役は、定期的に各部門より業務の報告を受けるとともに、自らも日常の業務を調査し、知り得た情報はできるかぎり非常勤の監査役に伝える。

2.監査役は、監査計画および監査報告書の作成その他監査役としての権限の行使について十分に意見の交換を行うものとする。

 

第3章  実施基準

 

第10条(取締役会)

 監査役は、取締役会に出席し、必要に応じて報告または意見を述べる。

2.監査役は、取締役が会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは、定款に違反する行為をなし、またそのおそれありと認めたときは、取締役会に報告しなければならない。

3.監査役は、取締役会に報告を必要とするときは取締役会の招集を請求することができる。

4.監査役は取締役会議事録において、議事の要領およびその結果の記録の正確性を確認のうえ記名押印しなければならない。

 

第11条(重要な会議)

 監査役は、経営方針決定の経過および業務執行の状況を知るために、経営会議その他の重要な会議に出席することができる。

2.前項の会議に出席しなかった場合には、監査役は審議事項についての報告を受け、議事録および資料等を閲覧する。

 

第12条(本社、事業所、工場等)

 監査役は、本社、営業所、工場等を調査し、会社の業務全般の実情を把握すると共に、業務が適正に行われているか否かを確かめる。

2.監査役は、前項の調査の結果、意見の陳述、助言または勧告をする場合には、取締役に対して行うことを原則とする。

 

第13条(株主総会)

 監査役は、株主総会に提出される議案および書類については、招集通知を発送する前に閲覧し、違法または著しく不当な事項の有無について調査する。

2.監査役は、株主総会議事録について議事の要領およびその結果の記録の正確性を確認する。

3.監査役は、株主総会において株主が質問した事項については、監査役の職務権限に基づき説明しなければならない。

 

第14条(経営)

 監査役は、経営方針、計画またはその執行において法令もしくは定款違反の恐れまたは著しく不当な事態が生じる恐れがあると認められるときは、実情に応じ助言または勧告する。

 

第15条(諸制度)

 監査役は、会社の組織および社内規程等諸制度に意見を持つに至った場合には、その意見を取締役に述べることができる。

2.総務部長は、会社組織および社内規程等諸制度に変更があった場合には、監査役に報告しなければならない。

 

第16条(文書)

 監査役は、業務執行に関する重要な文書を適時閲覧し必要あれば、関係の取締役または部門長に対しその説明を求めることができる。

 

第17条(財産)

 監査役は、会社財産の管理および取得、処分について調査し、もし法令若しくは定款に違反する事実または著しく不当な事実を発見した場合には、直ちに是正するよう取締役に対し勧告する。

 

第18条(取引)

 監査役は、重要または異常な取引等について、法令若しくは定款違反の事実を発見した場合には、直ちに是正するよう取締役に対し勧告する。

2.会社が、無償の財産上の利益の供与、若しくは株主との通例的でない取引については、取締役は監査役に報告し、監査役は、監査の結果取締役の業務に違反するような事実を発見した場合には、直ちに是正するよう当該取締役に対し勧告する。

 

第19条(取締役の報告に対する措置)

 監査役は、取締役から会社に著しい損害が生ずる恐れがある旨の報告を受けた場合には会社に与える影響等を調査し、監査役として助言または勧告等の必要な措置を講じなければならない。

 

第20条(監査法人との連携)

 監査役は、監査法人と緊密な連携を保ち、かつ監査法人の監査を活用し、自らの監査成果を得るよう努める。

2.監査役は、会計に関する監査について、独自の観点から適宜監査を実施する。

3.監査役は、毎事業年度の初めに監査法人から監査計画の概要について説明を受け、また自己の行う会計に関する監査計画について説明し、その調整をはかる。

4.監査役は、監査法人より平素から監査に関する報告を求め、自らの調査または監査法人の調査状況について話合う。

5.監査役は、監査法人が取締役の職務遂行に関し、不正の行為または法令若しくは定款に違反する重大な事実またはその恐れがあると認めたときは、直ちに通知するよう監査法人に求める。

6.監査役は、監査法人から監査報告書を受領する際には、その報告書に関する説明を求める。

7.監査役は、監査法人の選任、解雇に関し、同意または提案をする場合には、慎重にしなければならない。

 

第21条(内部監査室との連係)

 監査役は、内部監査室と緊密な連係を保ち、その監査を活用して、自らの監査成果を得るよう努めなければならない。

2.監査役は、内部監査の調査結果の報告を受け、また特定の事項についての調査を内部監査室に依頼することができる。

 

第22条(会計制度)

 財務経理部長は、会計制度、会計処理の方法または計算書類の記載の方法を変更する場合には、あらかじめ変更の理由および変更による影響について監査役に報告しなければならない。

2.監査役は、会計制度または会計処理の方法等について問題があれば、その都度社長に意見を述べなければならない。

 

第23条(監査報告)

 監査報告書は、簡素明瞭に記載し、作成年月日、常勤の監査役にあっては常勤の旨を付してそれぞれ記名押印する。

 

第24条(監査役会)

 監査に関する重要な事項について、監査役相互の連絡、協議、意見、調整および決定のため、監査役会を設ける。

2.監査役会の運営については「監査役会規程」に定める。

 

附 則 1.本規程の改廃は、規程管理規程による。

    2.本規程は、●年●月●日より施行する。

    3.改定   ●年●月●日

文:内藤克之

IPOコンサルタント:内藤克之

内藤克之:プロフィール

IPOコンサルタント。株式会社ドウシシャ(東証プライム市場)勤務、上場準備、経理、財務に従事。上場準備支援の東洋ビジネスコンサルティング株式会社でマネージャーとして数十社の支援を行う。その後、窪田税理士事務所にてIPOコンサルティングに従事、当社設立に参画。支援先には、ベンチャー企業から大企業まであり。今までに延べ100社以上のコンサルティングを行う。IPO支援以外に上場企業の開示実務支援も行っている。

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