⑥ すぐに使える! IPO規程7選 与信管理規程と作成ポイント
1.「与信管理規程」の作成および運用上のポイント
・与信限度額の見直しは原則、年1回とする
・取引先が上場企業、誰もが知る有名企業であっても与信限度は設定する(青天井はダメ)
・与信限度額の設定基準を定める必要がある
2.「与信管理規程」のサンプル
下記規程サンプルの部門名、責任者は一般的な名称にしています。
当規程サンプル以外の規程が必要な方は、こちら「IPOのための社内規程集」をご参照ください。
第1章 総 則
第1条(目的)
本規程は、当社の与信管理に関する基準および手続を定め、取引の安全と債権の保全を図ることを目的とする。
第2条(適用範囲)
本規程は、当社が行う取引(法人または個人を相手として行う商取引)のうち、販売先に係る与信に適用する。
2.第1項の定めに係わらず、以下の取引先については与信限度額管理の対象外とする。
(1) 国内外の政府および地方自治体
(2) 国内外の政府および地方自治体が過半数の議決権を所有する等、実質的に支配する会社
(3) 証券取引所上場企業や世界的に著名な国内外の優秀な企業またはその関係会社等。
なお、各営業部長は自部門の取引先で上記の適用を受けたい先がある場合、その旨を「取引先申請兼与信限度額設定申請書」に記載の上、財務経理部に提出し、審査を受けるものとする。
第3条(規程の運用・解釈)
本規程に定めのない事項および解釈に疑義のある事項については、財務経理部長がこれを解釈する。
第4条(与信限度額設定時における確認事項)
申請部門において与信限度額の申請または審査部門において与信限度額設定の審査を行う場合には以下の事項を確認するものとする。
(1) 取引先の経営環境、経営成績および財政状態
(2) 当社との取引実績および回収実績
(3) 取引先の所在する地域、属する業界における債権回収に係る一般的な商慣行
(4) 実施する取引の内容・規模
(5) 決済条件等、販売の諸条件
(6) 担保の有無
第5条 (与信管理責任者)
当規程の範囲となる与信管理の責任者は、営業本部長とする。
第2章 与信限度の定義・種類
第6条(与信限度の定義)
取引先に対して供与する信用の限度額をいう。
第7条(与信限度の種類)
当規程の範囲となる与信限度の種類は、次のとおりとし、下記合計金額をもって、取引先に供与する限度額とする。
(1) 販売先与信限度
(2) 売掛債権(手形債権)限度
第3章 与信限度の設定・登録
第8条(与信限度額の設定)
財務経理部は、第4条の事項を調査し、別に定める「与信限度設定基準一覧表」に基づき、申請部門から回付された「取引先申請兼与信限度額設定申請書」に必要な項目を記載し、与信限度額を設定する。
2.与信限度設定の承認者は、経理課から回付された「取引先申請兼与信限度額設定申請書」の内容を確認し、与信設定の可否、与信限度額および必要に応じた審査承認の条件を確認し、承認する。
3.与信限度額設定に関する承認権限者は、別に定める「職務権限規程」による。
4.「与信限度額設定基準一覧表」に基づき計算された与信限度額が、申請与信限度額に達しない場合、取引の必要性や回収可能性を十分に吟味した上で、社長決裁により慎重に対応する。当該取扱いを行った旨は、経営会議に報告しなければならない。
第9条(与信限度の決済通知・登録)
与信限度額が承認権限者により承認されたときは、財務経理部は申請部長に対し決裁結果を通知し、また、経理課システム担当者は与信設定額をシステムに登録するものとする。
第10条(与信限度の発効)
与信限度は、前項の決裁手続およびシステム登録が完了したときに効力を生じる。
第11条(与信限度の有効期限、増額)
与信限度の有効期限は、原則として、登録月の末日をもって起算し1年間とする。ただし、1回限りまたは特定期間の取引については、あらかじめ定められた期限をもって有効期限とする。
2.前項の有効期限後も取引が継続する場合は、定期更新手続きとして、期限到来前に、財務経理部担当者は、「与信限度額設定申請書」の内容を最新のものに更新した上で、第8条2項から4項の手続きを行い、これにより限度額の変更があった場合は、関連部署長に報告を行うものとする。
3.取引の拡大により与信限度額の増額が必要になる場合にも第8条に基づく更新手続を行わなければならない。
4.一時的に与信限度が増加する場合は「取引先申請兼与信限度額設定申請書」の様式を用いて暫定限度申請を行い、決裁を受けることで暫定的に増額およびその期限を設定することができる。
第12条(与信限度遵守義務)
担当者および部課長は、登録された与信限度額および財務経理部の審査承認に際して付された条件を忠実に守らなければならない。
第4章 与信限度の運用・管理
第13条(与信限度の減額等)
与信限度の減額手続については、第8条の規程を準用する。
附 則 1.本規程の改廃は、規程管理規程による。
2.本規程は、●年●月●日より施行する。
3.改定 ●年●月●日
内藤克之:プロフィール
IPOコンサルタント。株式会社ドウシシャ(東証プライム市場)勤務、上場準備、経理、財務に従事。上場準備支援の東洋ビジネスコンサルティング株式会社でマネージャーとして数十社の支援を行う。その後、窪田税理士事務所にてIPOコンサルティングに従事、当社設立に参画。支援先には、ベンチャー企業から大企業まであり。今までに延べ100社以上のコンサルティングを行う。IPO支援以外に上場企業の開示実務支援も行っている。
