④すぐに使える!IPO規程7選 リスク管理規程と作成ポイント
1.「リスク管理規程」の作成および運用上のポイント
・リスク評価実績が求められる。
・リスク・コンプライアンス委員会(名称は任意)を設置、開催する。
2.「リスク管理規程」のサンプル
下記規程サンプルの部門名、責任者は一般的な名称にしてます。
当規程サンプル以外の規程が必要な方は、こちら「IPOのための社内規程集」をご参照ください。
リスク管理規程
第1章 総 則
第1条(目的)
本規程は、当社にて想定し得るリスクを認識してリスクの現実化を未然に予防するとともに、危機が発生した際は迅速かつ適切に対応することにより被害を最小限に止め、再発を防止し、当社およびグループ会社の企業価値を保全することを目的とする。
第2条(定義)
本規程においてリスクとは、当社に物理的、経済的もしくは信用上の損失または不利益を生じさせる全ての可能性を指すものとし、危機とはリスクが現実化した事象を指すものとする。
第3条(方針)
当社の事業に関する法案等の制定、改廃等に留意してこれらを遵守する。
2.当社は、社会環境の変化に留意してリスクを正確に予測・把握し、リスクに対する適切な施策を整備する。
3.当社は、危機が発生した場合や、法令等に違反する事態が発生した場合は、その発生事由を特定し責任を明らかにしてこれに対処し、事態を適切に対処するとともに、再発防止のための措置をとる。
第2章 リスク管理体制
第4条(リスク管理推進体制)
当社におけるリスク管理推進体制は、以下の各号とする。
(1) 最高責任者
当社の最高責任者は、社長とする。
(2) リスク管理責任者
当社の取締役および執行役員は、リスク管理責任者として、担当する部門ならびに会社におけるリスクについて、指導および統括する責任を負う。
第5条(リスクの分類)
リスクとして管理に取り組むべき事象は、次の各号のとおりである。
(1) 戦略リスク
ビジネス戦略リスク、市場リスク、経済変動リスクおよび社会リスク等の経営戦略上のリスク
(2) 財務リスク
金融、金利、為替および与信等に関するリスク
(3) コンプライアンスリスク
事業活動、労務管理、会計処理等に関して法令、業界基準、社内規程への抵触および違反に起因する当社への悪評の広まり、人材流失および業績悪化等に関するリスク
(4) オペレーショナルリスク
業務プロセス中のミスや見落とし、非効率およびシステムの誤動作等による軽視できない金額の損失の発生等に関するリスク
(5) ハザードリスク
事故、災害による当社の人的、物的資産の損傷および商品・サービスの供給停止の発生等に関するリスク
(6) 情報セキュリティリスク
悪意ある外部者の攻撃または内部者の故意および不作為による個人情報、顧客情報、社内ノウハウ等の機密情報流失に関するリスク
(7) サービスリスク
顧客対応、提供サービスや製商品の品質およびそれらに付随する事象における市場価値の低下、訴訟および風評被害の発生等に関するリスク
(8) その他リスク
前号までに分類されないリスク
第6条(リスク管理手法の基本方針)
当社のリスク管理については、以下の各号の手法を基本とする。
(1) リスクの特定
各分野におけるリスクについて、潜在的なリスクを含めて抽出し、把握する。
(2) リスクの評価
抽出したリスクごとに重要度を評価し、対応の優先順位付けをする。
(3) リスクの制御
リスクの重要度に応じて、必要な対策を講じることによりリスクが経営に与えるインパクトおよび発生頻度を制御する。
(4) コンティンジェンシー・プランの用意
リスクの重要度に応じて、リスク発生時に必要となる情報伝達、対応組織および対応手順をあらかじめ定める。
第7条(重点対策リスク)
評価したリスクのうち重要度の高いリスクについては、「重点対策リスク一覧」としてまとめ、項目ごとにリスク管理推進のための担当部門を定める。
2.重点対策リスクの管理について当社の横断的な取り組みが必要な場合、前項の担当部門長および管理責任者は、リスク・コンプライアンス委員会等の横断組織を主宰し、リスクの制御に努めなければならない。
第3章 リスク・コンプライアンス委員会
第8条(リスク・コンプライアンス委員会)
当社のリスク管理およびコンプライアンスに関する取り組み、当社としての方針および重要事項の承認、決定等の諸活動を行うため、リスク・コンプライアンス委員会を設置する。リスク・コンプライアンス委員会の具体的な構成、役割等は、「リスク・コンプライアンス委員会細則」に定める。
第9条(リスク・コンプライアンス委員会事務局)
当社のリスク管理およびコンプライアンスに関する事務を統括する組織として、リスク・コンプライアンス委員会事務局を設置する。リスク・コンプライアンス委員会事務局の具体的な構成、役割等は、「リスク・コンプライアンス委員会細則」に定める。
第10条(リスク・コンプライアンス担当者)
各本部におけるリスク管理を推進する者として、リスク・コンプライアンス担当者を選任する。コンプライアンス担当者の役割等は、「リスク・コンプライアンス委員会細則」に定める。
附 則 1.本規程の改廃は、規程管理規程による。
2.本規程は、●年●月●日より施行する。
3.改定 ●年●月●日
内藤克之:プロフィール
IPOコンサルタント。株式会社ドウシシャ(東証プライム市場)勤務、上場準備、経理、財務に従事。上場準備支援の東洋ビジネスコンサルティング株式会社でマネージャーとして数十社の支援を行う。その後、窪田税理士事務所にてIPOコンサルティングに従事、当社設立に参画。支援先には、ベンチャー企業から大企業まであり。今までに延べ100社以上のコンサルティングを行う。IPO支援以外に上場企業の開示実務支援も行っている。
