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上場準備における主幹事証券選び

主幹事となる証券会社は、IPO全体のスケジュール管理、上場準備における様々な場面での指導・サポート、公開審査、株式の引受・公開価格の決定や販売などの中心的な役割を担います。そのため、主幹事証券会社との関係が良好であることが上場を達成するうえで必要不可欠であり、証券会社の選定がIPOの成否を握っているといっても過言ではありません。

 

1.実績

証券取引所の上場審査は、世間の状況も反映しながら常に変化しています。主幹事証券会社は、上場審査のポイントを熟知していることや、公募価格の設定についても市況等を考慮し、投資家の声を反映した適切な価格設定をする必要があります。

よって、主幹事証券会社は、豊富な実績がある証券会社を選定するのが良いと思われます。

大手の証券会社である野村證券、SMBC日興証券、大和証券は豊富な実績を有しています。また、みずほ証券、三菱UFJモルガンスタンレー証券などの準大手やネット証券のSBI証券もIPOの主幹事が増えています。

主幹事証券を選定する際に複数社の証券会社からプレゼンをしていただく場合があります。その際に上場時のバリュエーションを異常に高めに提案される証券会社もあります。1社だけ突出したバリュエーションを提案された場合は、それだけに惑わされず、上場までのサポート体制や実績等も考慮し、冷静に見極める必要があります。主幹事選定時に提案されたバリュエーションは、確約されたものではないということを認識しておく必要があります。

 

2.業界・ビジネスモデルへの理解

申請会社が属する業界とビジネスモデルへの理解は重要なポイントです。証券会社の担当者の業界・ビジネスモデルへの理解が浅いと、上場準備がスムーズに進まないことがあります。

 

3.主幹事証券との相性

上場準備は、タイトなスケジュールの中で膨大な業務をこなしていく必要があります。上場に向けて二人三脚で進んでいくと言っても過言ではありません。そのため、主幹事証券の担当者が信頼できるか否かは主幹事証券を選定するうえで重要なポイントとなります。大手だから大丈夫と安易に決めるのではく、慎重に選定する必要があります。上場準備の過程において、主幹事証券の変更は可能ではありますが、おすすめはしません。主幹事証券を変更すると上場申請が当初予定より遅れる場合があると思っておいた方がいいでしょう。

 

4.まとめ

主幹事証券は、IPO支援実績が豊富な大手または準大手から選ばれるのが一般的です。

監査法人が中堅・中小監査法人の場合は、主幹事証券は、大手または準大手にされることをおすすめします。

監査法人が大手監査法人または準大手監査法人の場合は、主幹事証券は、大手または準大手以外でも大丈夫です。

主幹事証券は、上場時の株価を高く提案してくれたことのみにとらわれず、御社の事業内容の理解や相性など総合的に勘案して選定する必要があります。

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